ぼやけた光で時刻を伝える。
起きてすぐに、眼鏡をかけず、直感的に時間がわかるアナログ目覚まし時計
問題
目がよく見えないとパッと情報を受け取れない 
近視の人は、朝起きてから時間を知るまでに一手間かかる。眼鏡をかけたり、近距離で時計を見たりする。遠くのものにピントが合わせにくく、部屋全体がぼやけて見えるからである。そこで、ぼんやりとした視界のまま、直感的に時間を確認できるような目覚まし時計を設計する。
 
リサーチ
細かい情報の可視性が低くなる
裸眼で見ている景色は、眼鏡やコンタクトで視力矯正をしている日常の景色とは異なる。目の解像度が低くなり、文字情報や細かい装飾などの正確な形が読み取れない。一方で、文字が読みにくくなった人のための時計は、時計自体あるいは時計盤の数字を大きくする対応がとられている。

白いものや光が目立つようになる
視力の低い私自身が、裸眼のまま街を歩いて観察する。すると、地面に落ちている紙屑、窓ガラスや金属に反射した光など、白色に近いものが目についた。中でも、周りとの明度に差があるものほど、より際立って見える傾向が強い。
提案
光の反射率の違いで時針を強調する
文字ではなく、長針と短針の相対的な位置関係から、時刻を認識するアナログ時計をリデザインする。素材は、時針に金属球、時計盤に低反射塗膜を使用する。金属球に反射した光は、ぼやけて拡がり、膨らんだような光で目に届く。一方で、時計盤は光を吸収するため、時針との間に色のコントラストをうむ。
 
ビジョン
求めるときに必要な情報がふと伝わる
身の周りには、一定の見え方を前提とした製品が溢れている。視力がある程度高く、文字や色がよく識別できる状態で使用する。しかし、人や場面によって視界の様子は異なる。それに伴って、人が視力を矯正するのではなく、その知覚世界を利用したモノが効果を発揮する。
 
細部設計
光が金属球に反射しやすくするための傾斜
塗膜の脆い塗料を維持するための表面の細かい凸凹
制作過程
現存製品を分解して、構造を理解する
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クォーツを分解して、アラームと歯車の仕組みを理解する
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現存製品の目覚まし音を周波数分析する
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ターゲット規模の調査
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近視の人が注目しやすいものを街中で観察する
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塗膜の弱い超低反射水性塗料をプロダクト表面に使用するための染色実験
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金属級の大きさ・形状検討
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モックアップ制作
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樹脂の染色
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ギアやモーター音の騒音対策
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学部3年前期 プロジェクト実習・制作:
すでに存在している製品を対象としてその製品の詳細をクリエーション、マネジメント、テクノロジーの観点から学び、それに新しい工夫を加える。つまり、製品を生み出す際に必要となるクリエイティブな部分も含めて、デザイナーやエンジニアがその製品に対して行ったさまざまな知識や技術を現存する製品から学び、さらにそれに改良を加える。

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